<金口木舌>依存症治療の環境整備を


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 「お酒と薬物とギャンブルはドミノたおしのよう」。薬物依存症などの親のいる子のたとえ話から始まる絵本「パパはわたしがすきだけど、パパはびょうきだよ」。米国のソーシャルワーカーで依存症に詳しいクラウディア・ブラックさんが子どもたちの声を聴き取って作った

▼依存症はけんかや暴力の引き金になり、家族を苦しめる。「その人が自分とまわりの人をたおしちゃう」。子どもの言葉は重い。依存症は「病気」という自覚と受容から治療が始まる。ブラックさんは回復には周囲の理解と支えが大切と伝える
▼合成麻薬MDMAを所持したとして、女優の沢尻エリカさんが逮捕された。MDMAは興奮や幻覚・幻聴作用があり、心臓の機能不全、脳卒中などを引き起こすとされる。俳優ら有名人の薬物事件が相次いでいる
▼薬物事犯を巡っては、自己責任に焦点が当てられがちだ。「処罰して終わりではなく、依存症という病気として捉え、治療する環境を整える必要がある」と精神科医の香山リカさんは言う
▼元プロ野球選手の清原和博さんは薬物依存症の治療を受けている。17日に浦添市で開かれた野球の試合「ドリームマッチ」に出場した
▼清原さんの友人の元プロ野球選手・佐々木主浩さんも駆け付け、清原さんとの夢の対決を実現させた。仲間の存在は心強い。清原さんの笑顔に希望を見いだした。