<金口木舌>ちょうちん行列


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 取材備品の折り畳み自転車を車に積み込む。駐車ができない現場に急行する際、途中で乗り換える。財布や傘など折り畳み式は身近にある。スマートフォンでも開発が進む

▼軽くて小さい。利便性を追求し行き着く先は今も昔も同じ。ちょうちんは木枠に紙を貼ってぶら下げたものから、1500年代後半には竹を使い、折り畳み式になった
▼改元と天皇即位を祝うちょうちん行列が今年各地であった。夜にちょうちんを持ち行進して祝意を示す。米国のたいまつ行列を参考にしたといわれる
▼ちょうちん行列が日本で大々的に実施されたのは1894~95年の日清戦争、1904~05年の日露戦争の勝利を祝ってからだという。04年9月5日付の琉球新報は、那覇首里でちょうちん行列の子どもらが君が代を斉唱し、数千人が見物したと伝える
▼日米開戦となったハワイの真珠湾攻撃から8日(日本時間)で78年。攻撃成功を祝うちょうちん行列は沖縄でもあった。戦争に国民を総動員させるため利用された。当時からハワイには多くの県人が暮らし、家族の身を案じても口に出せず、行列を見つめる人もいた
▼5日は初の海外移民となる県人がハワイにたってから120年。世界の県系人、日系人の暮らす地では盆踊りがあり、ちょうちんも飾る。消してはならぬ平和のともしび。権力のちょうちん持ちにはならない。