<金口木舌>「美らラオ」に込められた想い


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 ラオスの伝統的な酒「ラオラオ酒」が年明けから沖縄へ輸出される。米を原料に秘伝のこうじを用いる蒸留酒だ。日本向けの商品名は「美らラオ」。アタプー県サーイ村の女性たちが工場で生産している

▼橋渡し役はコープおきなわの石原修さん。家庭内で造られてきた「ラオラオ酒」に着目し産業化を考えた。5年ほど前、村々を歩き協力者を探す中「子どもの将来のために収入を」というサーイ村の女性たちの心意気に胸を打たれた
▼女性リーダーと共に協同組合方式を導入した。工場を設置し量産体制を整えた。貧困の解消、産業と技術革新の基盤づくり…。理念は国連が掲げる持続可能な開発目標「SDGs」に重なる
▼途上国での事業に取り組む企業に東京の「マザーハウス」がある。バッグなどの製造販売を手掛け、バングラデシュなどで工場を運営する。「現地の素材を活(い)かし、現地の職人と共に」がモットー
▼マザーハウスは給与を現地の水準よりも高くし能力に応じて昇級させるなど労働環境を整えているという。地域にある魅力的な素材を紹介し、品質やデザインで勝負する
▼「美らラオ」の工場も待遇に気を使っている。売り上げの30%を人件費として確保し、従業員が安心して働けるようにしている。久米仙酒造から指導を受け、品質向上に余念がない。「美らラオ」の芳醇(ほうじゅん)な香りを楽しめる日が待ち遠しい。