<金口木舌>育児は2週間で終わらない


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 「男性は、育休が明けたら育児も終わったように考えがちだが、大変なのは復帰してから」。14年前、育休を終えて職場に戻った時、先輩の女性記者から言われた。やがて言葉の意味を痛感した

▼小泉進次郎環境相が育児休業を取得する。期間は第1子誕生後の3カ月間に計2週間、環境省職員の勤務時間では約110時間になる
▼国連児童基金(ユニセフ)の子育て支援策の調査では、男性の有給育児休業期間で日本は1位だ。だが実際に取得する父親は少なく、ユニセフは「社会的に受け入れられるようになることが必要」と指摘する。2018年度の男性の育休取得率はわずか6・16%だった
▼出産直後の女性の心身の不調や赤ちゃんの夜泣きなどが男性が育休を取る理由として挙げられるが、育休期間中だけが育児ではない。職場復帰後に仕事と育児・家事の両立が始まる
▼子どもの体調は親の仕事の都合に配慮しない。仕事が忙しい時にも熱を出し、保育園からの呼び出しもしばしばだ。小中学生になったら部活や習い事の送迎もある。女性が社会で輝くにはパートナーや周囲の協力が不可欠だ
▼環境相の育休取得を契機として、男性の育休を巡る議論が活発化し、社会の理解が深まればいい。職種や立場、性別にかかわらず、誰もが育休を取得でき、積極的に子育てに関われる社会にしなければならない。