<金口木舌>チャンスはまだある


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 落差は50センチ以上。打者からは胸元でボールが消えたように見えた。2001年春、選抜大会に「21世紀枠」で出場した宜野座高野球部。比嘉裕投手は縦に大きく曲がる「宜野座カーブ」で打線を翻弄(ほんろう)。4強入りし旋風を巻き起こした

▼24日、「21世紀枠」の選考委員会が開かれたが、候補だった本部高は選ばれなかった。宜野座以来、県勢は選考されていない。期待していただけに残念だ
▼とはいえ、本部高野球部の頑張りは高く評価されていい。毎年部員確保に苦慮し、他校から選手を借りて試合に出場した年もあった。学校自体、今帰仁村の北山高校との統合も検討されていた
▼数々の苦難を乗り越え現在がある。部員は17人だが半数以上は幼稚園からの幼なじみ。主力の2年生は中学3年の時に県中学総体で4強入りした。甲子園を目指し励まし合ってきた固いチームワークが強みだ
▼宜野座高が01年、選抜に出場した際の監督で「宜野座カーブ」の考案者、奥濱正さんが野球部の部長だ。直伝を受けて習得中の投手陣には今後の飛躍が期待できる
▼部員はボランティアにも率先して取り組み、地元は地域ぐるみで支えた。候補になり「小さな学校大きな夢」という横断幕を校内に掲げた。力を発揮できる機会はまだある。実力でつかめ、というエールと捉えたい。「大きな夢」をかなえる時を楽しみに待とう。