<金口木舌>エゴという名の悪魔


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 きょうは節分。この日、豆まきで悪鬼を払い、近年は縁起を担いで恵方巻きを食べる人も増えた。一方、大量の売れ残りを廃棄する食品ロスも問題視され、人間のエゴを目の当たりにする

▼電力を利用しながら、厄介ものとして扱われるのは原発から出る高レベル放射性廃棄物「核のごみ」。最終処分場の候補地選定の動きもあるが、候補地とささやかれる地域は警戒を強める
▼50年前のきょう、日本は核拡散防止条約に署名した。批准は1976年。米英仏ロ中に核保有を認め、他国の保有を禁じたため不平等と指摘される。進まない核軍縮に不満を募らせた非保有国は2017年、国連で核兵器禁止条約を採択した
▼広島、長崎への原爆投下後の1945年8月19日、日本の降伏使節団を乗せた飛行機「緑十字機」が伊江村に降りた歴史は知られていない。先月28日、村に部品の一部が贈られた。語り継ぐ静岡県の団体は「戦争をしない努力を共に発信したい」と語った
▼60年代、伊江村で米軍は模擬核爆弾投下訓練を繰り返した。部品が贈られた翌日、パラシュート訓練の物資が村の民間地に落下した。戦争は終わっていないとの思いになる
▼米の核の傘に入る日本は核禁止条約を批准していない。沖縄に基地が居座るだけでなく、日本全体が兵器、核に囲まれつつある。エゴという名の悪鬼はさまざまな形で身近に潜む。