<金口木舌>対米追従に効くワクチンは


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 新型コロナウイルスの脅威が急速に広がっている。第一牧志公設市場の休業には言葉を失った。市民、県民の台所の明かりが消えるのだ。「フェーズ(局面)が変わった」という玉城デニー知事の言葉がずしりと響く

▼県医師会が前代未聞の清明祭(シーミー)参加自粛や規模縮小を呼び掛けた。親類が集う墓の前は避けねばならぬ「3密」に当たるのだろう。オトーリの禁止を求めた宮古島市のお達しに市民は驚いたはずだ
▼年に1度のシーミーは祖先に感謝し親類が睦(むつ)み合う場である。オトーリは楽しい酒席。自粛続きで気はめいるが仕方あるまい。ご先祖さまには我慢を願おう。私たちもしばしの我慢
▼納得できないこともある。米国防総省は米軍基地別の感染情報を公開しないというのだ。「米軍の運用上の安全を守るため」が、その理由。抑止力を損ねるということらしい
▼結局は「県民に危機を及ぼす抑止力維持とは何なのか」という疑問に行き着く。基地内で患者が発生したという未確認情報が幾度か飛び交ったのも、県民の不安の表れだ。情報を隠してはならない
▼米軍基地の感染状況について河野太郎防衛相は「発表は差し控えたい」と述べた。国会で「米側から情報提供はしっかり受ける」と答弁したのは茂木敏充外相。真に受ける県民がいるとは思えない。米国への追従を止めるワクチンはないのだろうか。