<金口木舌>池袋暴走死傷事故1年


社会
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 「後の祭り」は手遅れの意味で用いる。祭りのあとの山車のように時機遅れで、無駄なことが語源の由来という説もある

▼対向車が中央線をはみ出し、こちらのサイドミラーにぶつかって、そのまま走り去った。警察への通報後、相手の車両番号や車種を答えられない。ドライブレコーダーの有無を聞かれたが後の祭り。事故後に取り付けた
▼昨年8月の茨城県・常磐自動車道のあおり運転殴打事件から1カ月後、ドライブレコーダーの販売が前年同期比の2倍になるなど急増した。あおり運転では死亡事故も起きている
▼東京都・池袋で乗用車が暴走し、県出身の松永真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=同(3)=が死亡、10人が重軽傷を負った事故は19日で1年。加害者は飯塚幸三被告(88)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で在宅起訴。事故後、高齢者の免許返納が相次いだ
▼夫の拓也さん(33)は16日に動画を公開し、1年の思いを語った。「誰しもが被害者にも遺族にも加害者にもなり得ます」「自分ごとと捉え、免許返納をしてくださった方々は大変勇気が必要だった」
▼ドライブレコーダー設置や免許返納の動きを一時の高まりとせず定着させたい。大切な人を守るために。「2人の命を無駄にしたくない」。再発防止を願う拓也さんのメッセージは14分余。動画サイト、ユーチューブで視聴できる。