＜金口木舌＞より良い日々は　

　飢餓で苦しむアフリカを救おうと米人気歌手らが参加したプロジェクトは「ＵＳＡフォー・アフリカ」だ。１９８５年に「ウィ・アー・ザ・ワールド」をヒットさせた

▼若い世代でも曲を聞いたことはあるはずだ。ベテランのレイ・チャールズさんや当時26歳のマイケル・ジャクソンさんら、40人を超えるオールスターがハリウッドのスタジオに集結して録音した
▼同じように支援が目的だが手法の異なるイベントが19日（日本時間）にあった。「一つの世界―家で一緒に」と題し、新型コロナウイルスとの闘いに結束を呼び掛け、医療従事者らを応援する中継コンサートだ
▼レディー・ガガさん、ローリング・ストーンズなど１００組以上が登場、８時間にわたり世界にウェブ中継された。出演者はステージではなく自宅などから出演した。集まれなくても心は一つとのメッセージにも受け取れる
▼国内では医療従事者に対する差別や偏見が一部で表面化した。感染して回復した日本サッカー協会の田嶋幸三会長は現状を憤り、最前線で奮闘する医師、看護師たちを「今は彼らが日本代表だ」とたたえた
▼「ウィ・アー・ザ・ワールド」はアフリカ支援を通して「私たちはより良い日々をつくりだせる」と歌った。今は世界が直面する危機だ。一人一人が感染を防ぐこと。差別を許さないこと。その先に良い日々がある。