<金口木舌>婦人の救済


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「売春禁止を叫び続けて20年目にやっと実現した」「特殊婦人の更生のためどうすればよいか研究し、政府を突き上げたい」。沖縄の売春防止法が1970年、立法院で成立した。当時の本紙に女性団体の関係者がコメントしている。復帰を前に、他県から14年遅れた法整備だった

▼記事は特飲街で働く女性たちが借金に縛られ、管理売春から抜け出すために行政の支援を必要としていることを指摘した。米施政下で高度経済成長とは無縁だった沖縄で、貧困のしわ寄せは弱者に押し寄せていた
▼新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史さんがラジオ番組で「コロナが明けたら、なかなかのかわいい人が、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」と述べた。「短時間でお金を稼がないと苦しいですから」とも
▼困窮する女性が増加することを歓迎するような発言だ。ニッポン放送は番組のホームページで謝罪した
▼作家の北原みのりさんは3年前、本紙のインタビューで「アダルトビデオも風俗も性労働や性表現の問題ではなく『性搾取の問題』だ」と述べた。「男が値段を付けて売り、男が買っている」と男性主体の構造を指摘していた
▼現在も性風俗店で望まずに働く女性たちがいる。「婦人の救済」は50年を経ても未解決だ。鍵になるのは男性側の意識が変わることだ。