<金口木舌>ステイホームと家事負担


社会
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 炊事や掃除に洗濯―。対価が支払われない家事労働は「シャドーワーク」と呼ばれる。生活を支えるためには不可欠だが、さまつな作業として軽んじられやすい

▼以前、収納アドバイザーを取材した。調理道具などを使う場所の近くに収納し、引き出しに表示を貼る。家族の誰が見ても置き場所が分かるようにするのがこつだ。「整理整頓は家族がスムーズに家事に参加できるような仕組みをつくること」との言葉に納得した
▼「ステイホーム(家にいる)」が奨励されている。大人は在宅勤務を推奨され、子どもは休園・休校で自宅で過ごす時間が長くなった。1日3食を自宅で食べる人も増えているだろう
▼2015年度の県民意識調査によると、家庭内の役割分担について、家事をする人は共働き世帯でも約4割が「主に妻」と答えた。「主に妻で、夫が一部分担」も約4割おり、妻が大半を引き受けている傾向が出た
▼自宅待機によって女性の家事負担がさらに増しそうだ。京都大の落合恵美子教授は「ステイホームに伴うシャドーワーク、つまり目に見えない仕事をきちんと見ないと、この国の生活も経済もつぶれてしまう」と警鐘を鳴らす
▼ソファに座って愛犬とくつろぐ時間ばかりではない。家事を生活の基盤を支える労働と捉え直し、性別に偏らない分担を家庭で実践したい。家族の和はそこから生まれる。