<金口木舌>今年の漢字は


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 1年の世相を表す「今年の漢字」は京都の清水寺で発表され、年末の風物詩になっている。昨年は「令」だった。2020年、SNSでは「禍」「密」などの予想が早くもつぶやかれている

▼沖縄県知事の会見に手話通訳者が4月から同席している。実はコロナ禍以前から当事者団体が求めていた。コロナの行政情報が届かないことを不安視する声が紙面で伝えられた後、配置された。異常事態からの産物といえる
▼支援をしたい人と受けたい人のつながりも広がる。琉球新報とNexSeed沖縄校による「こども未来ランチサポート」では、企業が食料を無償で各地域に提供している。自営業者による弁当の無償提供もある
▼看過できないのはコロナ禍に乗じた犯罪行為だ。給付金を口実とした詐欺などの相談が全国で急増している。行政や新聞社の偽サイトまで出現し個人情報を狙う
▼現状からの奮起を図り「ピンチをチャンスに」と口にした人もいるだろう。一方、意味を履き違えた悪意ある行動も表面化している。だまされない注意も必要だ
▼手話では表情も重要な要素。知事会見では当初、手話通訳者は口元が隠れるためマスクを使えなかったが、今は県内で開発された透明マスクを着ける。県外からの注文もあるという。何よりも笑顔が見える。逆境をはね返した今年の漢字は「笑」。そんな年末を想像する。