<金口木舌>物差しは一つではない

 今や「アベノマスク」は、政府が配布する布マスクの呼び名として定着した感がある。埼玉県深谷市の市立中は、生徒に渡した文書に「アベノマスク」と明記した。着用を確認するといった文言や「忘れた生徒は少人数教室に残る」との記載があり、波紋が広がった

▼保護者から「アベノマスクじゃないと駄目なのか」との問い合わせがあり、SNSでも批判される。学校は謝罪し「どのマスクでも構わない」と訂正した。マスクの有効活用が目的だったというが、強要は許されない
▼新型コロナウイルスの感染防止と社会生活の両立に向け、多くの学校で混乱が生じている。大分県教育委員会は今月上旬、体育の授業でマスク着用を求める通知を出した。その後、熱中症の危険性を考慮し、生徒間の距離を取るなどすればマスクは不要とした
▼中国で4月、マスクを着けて体育の授業を受けた中学生が突然死する事故が相次いだ。感染を防ぐ行為が深刻な事態を招いた。「規範」が重んじられる学校ではルールの順守も強調されやすい
▼県内の学校でもマスクの着用が呼び掛けられている。「忘れたら学校に入れてもらえないのでは」という声を中学生から聞いた。恐怖心を抱かせない声掛けが求められる
▼感染防止の対策はさまざまだ。物差しは一つではない。一方的に正しいと決めつけて強要すべきではない。柔軟さが肝要だ。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス