江戸時代、火事が起きているのにすぐに避難せず、大八車に全財産を載せて運び出す人が多くいたという。火事場泥棒が横行していたためだ。コロナ禍でマスクや消毒液をインターネットで高額転売する事例が相次ぎ、政府が規制に乗り出した。混乱に乗じて不当に利益を得ることは許されない
▼新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」事務事業を一般社団法人のサービスデザイン推進協議会が国から769億円で受注し、749億円で電通に再委託した。政府は20億円を振込手数料や人件費に使うと説明する
▼布マスクの全戸配布は当初、466億円が投じられるとされたが、契約額は260億円になった。それでも「税金の無駄遣い」という印象は拭えない。妊婦用に配られた布マスクでは不良品が相次いだ
▼国会で議論される第2次補正予算案には10兆円の予備費が計上されている。政府があらかじめ使途を定めない予備費は国会のチェックが及ばない。巨額の予備費は疑念を生む
▼安倍政権は森友学園、加計学園や「桜を見る会」の問題でも明らかなように、さまざまな疑惑について国民にきちんと説明しようとしない。コロナ禍でも疑問が噴出している
▼税金がどのように使われているのか、不透明な点が多ければ不信感も生まれる。国民は大八車に財産を載せて、この国から逃げ出すわけにもいかない。