<金口木舌>コロナ禍の県議選を終えて


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 握手ではなく、グータッチ。大規模な集会や大会は「3密」となる。スキンシップはご法度。街頭での演説も候補者はマスク姿ときている。コロナ禍の県議選は絵にならず、記者泣かせであった

▼当の候補者は困ったであろう。公約を訴えようにもコロナが足かせとなった。特に新人候補者にとっては試練であった。投票率は過去最低の46・96%。候補者の声が届きにくい選挙では有権者も動かなかったか
▼ネットを駆使した選挙運動を見ることができたのは良かった。ホームページを連日更新し、公約や政治姿勢を丁寧に発信する候補者がいた。魅力的な動画を作り、視覚に訴える候補者もいた。いい動きだ
▼残念なのは4選挙区の無投票当選である。有権者は不利益を被ることになった。4年に1度の県議選で意思を示すことができなかったのだから。沖縄を支える政治の力が弱まっていないか気に掛かる
▼ともあれ48人の議員が出そろった。今後4年間よろしく、と悠長なことは言っていられない状況にある。想定外のコロナ禍で痛手を負った沖縄をどう立て直すか。行動を急がねばならない
▼観光を軸とした経済、医療福祉、教育と多方面で沖縄の弱点が災禍の中であぶり出された。困っている人の声に耳を傾け、手を差し伸べる政治の力が待たれる。県民と共に歩む議会であってほしい。やるべきことはたくさんある。