<金口木舌>中傷を黙認しない


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 昨年、取材した際に県内の女性が差別を受けた体験を語っていた。男性と違って、職場の女性がほとんど昇進できない。仕事を教わろうとした先輩に抱きつかれるセクハラも受けた。「女性は構造的な差別を受けている」と話した

▼SNSで誹謗(ひぼう)中傷などを受けたことがある社会運動家や弁護士たちが連帯して対抗するネットワークを結成した。プロレスラーの木村花さんが中傷を受けて亡くなったことが契機となった。レイプ被害を告白し、中傷にさらされた伊藤詩織さんも参加している
▼誹謗中傷は女性が対象となった場合、特に激化するようだ。職場のヒール靴強制に反対する運動「#KuToo」に取り組む石川優実さんも激しく攻撃された
▼県議選で女性候補7人が当選し、過去最多に並んだ。都道府県議会の女性議員比率の全国平均10%を上回ったが、県議会定数48の14・6%にとどまる。企業の管理職や議員など「指導的地位の女性」の割合を20年までに30%にする政府目標には遠く及ばない
▼世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」で昨年、日本は153カ国のうち過去最低の121位だった。女性が前面に出られない日本社会の根底に差別意識があるのだろう
▼差別の構造を変えねばならない。そのためには声を上げた女性をののしる風潮を黙認せず、共に声を上げ続けることだ。