<金口木舌>日ごろからの備えを


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で鹿児島県の三反園訓知事が鹿児島国体の年内開催を断念する考えを示した。1年程度の延期を求めている

▼だが繰り延べは簡単ではない。来年は三重、再来年は栃木での開催が既に決定し、国内最大のスポーツの祭典に向け、準備が始まっているからだ。延期では大きな影響が出ると後続の開催県に懸念が広がる
▼過去に国体自体を延期・中止した例はないが、季別大会が中止になったことはある。東京五輪のあった1964年の新潟国体だ。10月の五輪を避け、秋季大会を春季大会として開いた。直後の6月16日に新潟地震が発生し、8月の夏季は中止となった
▼同県粟島沖を震源に最大震度5を記録し死者26人、家屋全壊約2千戸の大きな被害が出た。代表選手が戻ったばかりの沖縄にも衝撃が広がり、救援募金が始まった
▼新潟では2004年に中越地震が起きた。昨年6月には震度6強の地震で粟島に微弱な津波が到達した。日頃の訓練の成果もあって、島では被害はなかったという。備えが大切だ
▼14日未明の地震で跳び起きた人もいた。県内では震度3が観測された。政府の地震調査委員会によると、県内沿岸部の多くは今後30年間で26%以上の確率で震度6弱の揺れが起こる地域とされる。感染症への備えとともに、緊急時の身構えを確認しておく必要がある。