<金口木舌>沖縄を思う心


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 漫才コンビ・プロパン7の上原圭太さんが動画配信のユーチューブで沖縄の老若男女の日常を演じて連続配信している。ステイホーム推奨の中、海外の県人から沖縄に帰った気持ちになったと反響があったそうだ

▼「見たことある」と思ったのがカチャーシーの早弾き三線に合わせ空手の型を打つ人。甲子園での沖縄代表校の試合の時だ。アルプススタンドでチャンスになると、ブラスバンドに合わせて演武をする男性がいた
▼聞けば関西在住の県出身者。勇壮な動きで選手をもり立てたいとの思いだった。観戦が無理なら開会式の県勢の入場行進を必ず見るという人もいた。甲子園は県系の方々の心をつなぐ場でもある
▼横浜市鶴見区で7月に開催される沖縄角力(すもう)大会も郷友が大切にしてきた行事だ。毎年、土俵をつくり道着をまとった力自慢が組み合う。近年はブラジル移民の子弟らも交え、いちゃりばちょーでーの精神で開かれてきた
▼76度目のことしは新型コロナウイルスの影響で中止となった。沖縄角力の伝統を継ぎ、ルーツを核に親睦を深める大会は来夏の再開を目指す
▼県外、海外へと移り住み、苦労を乗り越え当地に根を張った人たち。沖縄に心を寄せ、古里のつながりを支えにしてきた。故郷を思う心はコロナに負けない。アルプススタンドにも横浜の土俵にも、再び島くとぅばが飛び交う日が必ず来る。