<金口木舌>安田協同店の貸し出し


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 数円でも損をした気分になる。コンビニエンスストアやスーパーで買い物するたびにレジ袋の購入を尋ねられるようになった

▼日本のレジ袋は丈夫で、着替え入れなど再利用できる。「ポイ捨てしなければいい」とも思うが、既に危機的な状況だ。世界自然保護基金によると、世界の海に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5千万トン。さらに年間800万トンが新たに海に流れていると推定される
▼高知県室戸市沖で6月、絶滅の危機に直面しているウミガメ 「オサガメ」 の死骸が定置網にかかった。体内から見つかったのはプラスチック製のレジ袋だ。主食のクラゲと間違えて誤飲した可能性がある
▼プラスチックのごみは見えなくなっても深刻だ。海に流出して波や紫外線で砕けると、5ミリ以下のマイクロプラスチックになり、魚介などの生態系に悪影響を及ぼすとされている
▼国頭村の安田協同店は、2019年4月から利用客にマイバッグの貸し出しを始めた。きっかけは店主の徳田泰二郎さんと妻の優子さんが安田のビーチを散歩中、頭からビニールをかぶり死んでいるウミガメを見つけたこと
▼数日でレジ袋100枚を使い切っていたが、今では1週間に5枚程度で、マイバッグはかなり浸透している。生態系を守り、自然と共生していくことは私たちの買い物時の心掛けから始まる。