<金口木舌>会いたい人とテレビ電話


社会
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 私事だが同僚記者に第1子が誕生した。新型コロナウイルスへの対策のため、父親となった同僚はわが子との面会、病棟への立ち入りを従来より制限された。水際対策は必要と思う半面、親心を思うとやるせない

▼コロナ禍でソーシャルディスタンス(社会的距離)がうたわれる。せめて心理的な距離だけでも縮めたいと、インターネットのビデオ会議システムやテレビ電話を利用する機会も増えた
▼「オンライン飲み会」は耳なじみとなり、診療や施設面会でもオンラインは広がる。沖縄県内の介護施設でも感染予防のため家族などの接触を原則禁止としつつ、別室にあるパソコンを介した面談の場を設ける
▼食事中の密接を避けるなど県内の学生寮の取り組みも19日付で報じた。窮屈な生活で子どもたちや当事者のストレスは増え、心のケアが必要だ。高校生は母親とテレビ電話で励まし合うが、本音は「お母さんに会いたい」
▼再び私事で恐縮だが、元本紙記者の新垣茂さん(50)が18日に亡くなった。現役時代、事件や経済、教育などの分野を取材した。がんとの闘病を続けていた。緩和ケアの病院に入り、コロナ禍で面会は原則禁止だった
▼亡くなる前日、家族を介してテレビ電話で言葉を掛けることができた。言葉を返せない茂さんは涙を流し、少し笑っていたようにも見えた。通話を終えると視界はかすんでいた。