<金口木舌>共に生きる力


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 県立高校の1学期の終業式が28日にあった。2学期の開始は2日後の31日。新型コロナウイルスの影響で臨時休校に追い込まれた。遅れを取り戻そうと、土曜日に授業をする小中学校もある

▼学校の週休2日制は2002年、全国一斉導入された。児童生徒に「ゆとり」を持たせ「生きる力を育む」とうたわれた。当方は土曜日の授業を経験した世代。半日で終わり給食はない。腹をすかせた思い出が浮かぶ
▼コロナ禍のさなか、キャンプ用品の売り上げが好調だ。3密を避けて自然の中で野営をしたり、出掛けなくても自宅のベランダや庭でキャンプ用品を使い調理したりする
▼小中などの校外学習でもキャンプを経験し、食事を作る。公益社団法人日本キャンプ協会はキャンプそのものが教育的な場となり、意義として計画力や防災力、自然観などの生きる力が育まれるとしている
▼人気が高まる半面、キャンプ時のマナーも問題となっている。コロナ禍で最初の緊急事態宣言中の5月、本島北部では地元が自粛を呼び掛けているにもかかわらず、キャンプを続ける人々も目立った
▼国頭村の海岸でもキャンプ客が確認された翌日、ウミガメ産卵巣の場所で、たき火跡が見つかり一部の卵は割れていた。ウミガメ保護を続けてきた村民は「涙が出そうだ」と嘆く。育むは「共に生きる力」。コロナ禍の今、思いやりを忘れたくない。