<金口木舌>大風の時節


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 二百十日は例年なら9月1日だが、うるう年のことしはきのうだった。二百二十日も含め、昔から大風が吹く時節とされる。予報もない時代、農家や漁師は暦を見て警戒した

▼97年前、1923(大正12)年の9月1日に発生した関東大震災で火災被害が拡大したのは風の影響だったという。太平洋高気圧が弱まることとも関係があるようだ。ことしも台風9号の接近となった
▼先日の8号の通過の際、排水溝にごみがたまり、流れが悪くなっていた現場があったと聞いた。思い出したのが2001年9月、本島を2度横断した台風16号だ。沖縄市松本や安慶田、知花などで床上浸水、車両水没が多数発生した
▼早朝から取材に出た。未明に水が上がり、背中の冷たさで飛び起きた人も多くいた。気付くと愛車がつかっていたという話もあった。丘陵地での被害が意外だったが、排水の悪さに記録的な大雨が重なった
▼本紙が届くのは風雨ともに強まっているころか。河川や排水路の整備がいまだ進まない地域では眠れない夜だっただろう。感染症への対応を含めた避難の在り方も問われることしの防災の日だ
▼台風のただ中で防災というのもなんだが、進路情報や避難指示に注意を傾けることも被害を避けることにつながる。地域によっては避難所に集まるより、在宅避難が適することもあろう。状況に応じた対応で身を守ろう。