<金口木舌>マリオと政治


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 1985年9月13日、任天堂がファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」を発売し、のちのゲームブームの火付け役となった。誕生35年を記念した関連商品も販売される

▼マリオといえば4年前の夏、リオデネジャイロ五輪閉会式の演出を思い出す。安倍晋三首相がマリオに扮(ふん)して登場した。次の東京五輪を首相として迎えることへの強い意志表明と受け止めた人もいるだろう
▼2017年、自民党は総裁任期の党則を連続「2期6年まで」から「3期9年まで」に変えた。安倍首相は21年9月までの在任予定だったが、体調を理由に辞任を表明したため東京五輪を首相として迎える願いはかなわない
▼14日に決まる自民党新総裁の候補は菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長。いずれも名護市辺野古の新基地建設を容認する。後継首相も沖縄への風当たりは強いままのようだ
▼自民党は7日付文書で、総裁選を巡り新聞・通信各社に対し3候補者に関する「公平」な報道を要請し、記事や写真の内容、掲載面積に触れ「必ず平等に」扱うように求めた。政権党によるメディアへの干渉は国民の知る権利を脅かす
▼自民党支持率の回復もあり衆院選解散が早くもささやかれる。コロナ禍の中、優先されるべきは永田町の論理ではなく民の暮らしだ。テレビゲームと同じ感覚で、やり直しはきかない。