<金口木舌>焼け石に水


社会
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 「男女共に固定観念を取っ払い、育児や家事を共に担えば少しずつ社会も変わり、女性も社会進出しやすくなるのではないか」。北谷町議会の宮里歩議員の言葉だ

▼宮里さんは県内で初めて議員として産休を取得。定例会には子連れで参加した。議員控室を保育スペースとして利用できるようにするなど、議会を挙げて子育て世代を支える。男性、職場を巻き込んで意識を変える取り組みが地方で進む
▼一方で国の少子化対策はなかなか効果を上げない。昨年の出生数は86万5千人、1人の女性が生涯に産む子どもの数である合計特殊出生率は1・36と低迷する
▼内閣府は少子化対策の一環で新婚世帯の家賃や敷金・礼金、引っ越し代など新生活にかかる費用について、来年度から60万円を上限に補助する方針だ。現行額から倍増する。対象とする夫婦の年齢を現行の34歳から39歳に引き上げ、世帯年収の条件も緩和する
▼歓迎すべき施策には違いない。ただ子どもにお金がかかるのは結婚、出産時よりも子どもが成長してからだ。少子高齢化が急速に進んでいることを考えれば、焼け石に水という印象も受ける
▼経済協力開発機構(OECD)によると公教育への支出(GDP比)は、日本は先進国で最低水準だ。子育て世代の不安をどう取り除くか。親たちは既に自助、共助に奮闘している。圧倒的に公助が足りない。