<金口木舌>覇権維持の拠点


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 かつて「レグア」という距離の単位があった。大航海時代、スペインとポルトガルが海洋覇権を争う中、ローマ教皇が100レグアの境界で領海を二分した

▼当時は帆船を使った争いだった。スペインに次いでオランダ、イギリス、そしてアメリカと覇権の主は変遷してきた。今や鉄製の船からミサイルが飛び、領域は宇宙空間にまで広がる
▼敵ミサイルを撃ち落とす地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の秋田と山口両県への配備計画を断念した政府は、代替案として洋上運用案を検討する。石油掘削装置のような海上施設に設置する型かタンカーなど民間船舶活用型、護衛艦設置型の3案が挙がる
▼地上配備は迎撃ミサイルのブースター落下の恐れが拭えず断念された。危険回避で国策は変更され、洋上へ避けようとしている。同じ国策の米軍普天間飛行場の危険性除去はどうか
▼移転先の名護市辺野古の沿岸域では新基地建設が進む。陸上イージスの代替案を見ていると、危険を北部に移転するのではなく、無人島や海上基地でよかったのでは、と考えてしまう
▼米軍関係者に以前、無人島移転の可能性を聞いたら「どこで遊ぶんだ」と返してきた。命を懸けて従事する兵士には生活環境も重要らしい。楽しむために赴任しているわけではないはずだが、ならば県民の命や生活環境を最優先すべきでは。