<金口木舌>困窮する子育て世代


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 「L(レズビアン)やG(ゲイ)が足立区に完全に広がったら子どもは1人も生まれない」「法律で守られているという話になれば足立区は滅んでしまう」。東京都足立区の白石正輝区議が、性的少数者(LGBT)に関して区議会で発言した

▼区には批判的な内容を中心に220件以上の意見が寄せられた。当事者団体からも批判されている
▼白石氏は自民党会派に所属している。LGBTを巡っては杉田水脈衆院議員が2018年に「生産性がない」と月刊誌に寄稿した。昨年は平沢勝栄衆院議員が集会で「性的少数者ばかりになったら国はつぶれる」との趣旨の発言をした。いずれも自民党だ
▼少子化の責任はLGBTの人々にあるのか。国の少子化対策が効果を上げていないことを棚に上げ、問題をすり替えている。少数者に責任転嫁していては何も解決しない
▼厚生労働省の国民生活基礎調査で子どもの貧困率は13・5%だった。00年以降13~16%台で推移し、先進7カ国(G7)の中で高水準だ。とりわけ母子家庭など1人親世帯の貧困率は48・1%と深刻だ
▼経済協力開発機構(OECD)によると教育に関する公的支出の割合(GDP比)は17年、日本は比較可能な38カ国中でワースト2位。政府が取り組む不妊治療への助成拡大なども必要な施策だ。ただ急ぐべきは困窮する子育て世帯の救済だろう。