<金口木舌>単位を決めたのは誰?


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 力の単位はkg重(キログラム重)と学校で習ったが、最近はニュートン(N)。電力のワット(W)や電流のアンペア(A)など、単位は科学者の名前由来のものが多い
▼かつてカナダの化学関係のニューズレターに、体積の単位「リットル」が仏科学者「クロード・エミール・ジャン・バティスト・リットル」にちなんだと紹介された。「没後200年を記念して体積を表すSI単位(国際単位)に彼の名が使用されることが決まった」
▼実はこれ、ジョークだった。だが新聞や雑誌、ラジオはその記述を真に受け偽記事を出し、さらには「ミリー・リットル」という娘がいるとの創作も生まれたという(スレンドラ・バーマ「ゆかいな理科年表」)
▼リットルやメートル、グラムなどの単位は、18世紀末のフランス革命の頃に定められた。科学者からなるフランス学士院が任命した委員会が命名した。今もメートル法は国際単位として使われている
▼フランス学士院といえば国立のアカデミー。民間の同好会として発足したが、その後、宰相リシュリューが公の機関として制定した。フランス語辞典も編集した
▼日本のアカデミー、日本学術会議の委員任命拒否問題で菅義偉首相は違法でないと主張する。法を独自に解釈するあたり、既視感も覚える。耳障りなことを聞きたくないのだとしたら、度量が足りなさすぎる。