<金口木舌>「根性」と大宜味村


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 非科学的なことを我慢してやり通すのが「根性」のイメージ。だが、「KONJO 成長と成功の原理原則」(宗澤岳史著)によると、根性には「価値」「選択」「集中」「継続」の要素がある

▼「こうありたい」という価値を選択し、日頃から継続して集中して取り組む。わくわくするような価値があるものなら「根性」は自然と出そうだ
▼旧大宜味小学校跡地に創立100周年を記念して1982年に建立された石碑には「根性」が刻まれている。創立百周年記念誌によると、やんばるの一寒村から県の教育、政治、財界などをリードしてきた実績の土台は「教育における『根性』のある人づくり」があった
▼大宜味村教育委員会が17日、旧大宜味小学校跡地でシークヮーサーを使った昔ながらの芭蕉布の洗濯を再現した。合成洗剤がなかった時代の体験談などを基に、約60年前の芭蕉布をぱりっと洗い上げた
▼洗い立ての服は清潔でいい香りがするが、合成洗剤や柔軟剤の強いにおいで体調を崩す「香害」に悩まされる人もいる。天然のシークヮーサーでの洗濯は手間はかかるが、そうした被害はなかったはずだ
▼科学の発達で便利な製品が生み出されてきたが、化学物質によって体調不良を訴える人もいる。誰もが安心して利用できる製品を開発するには、先人の知恵を継いで発展させる「根性」が必要となりそうだ。