<金口木舌>特異な年を忘れない


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 気象の用語に特異日というものがある。晴れることの多い11月3日など特定の天気になりやすい日のこと。あくまで過去の統計上の話だが、特に関東地方では11月23日も晴天となる傾向がある

▼例年、その勤労感謝の日の祝日に行われるのが関東大学ラグビーの早慶戦。ことしは雲が多かったようだが、雨にたたられることなく、伝統のカードは戦われた
▼展開の早稲田に慶応は鋭い防御で対抗。ともに持ち味を発揮して見応えがあった。公式戦開催が危ぶまれた中、プレーできる喜びを表現しているようにも見えた。勝った早大は6日に対抗戦優勝を懸け明大と対戦する
▼同じ学生スポーツでも、季節によってはプレーできなかった競技もある。県内のハンドボールもそう。県内大学は九州のリーグ戦に西日本、全国の大学選手権と全公式戦が中止となった
▼一度も試合がないまま、引退する最上級生にユニホームを着せたい。そんな思いで、琉球大と名桜大の記念試合は行われた。非公式だが忘れられない試合となったことだろう。これを機に、両校の年1度の定期戦にしていくアイデアもある
▼関東には四大戦のように競技の枠を広げた総合開催の定期対校戦もある。技を競って高め合いつつ、理不尽に出場機会が奪われたこの特異な年を忘れない。スポーツができる喜びを再確認する機会にもなるのではないか。