<金口木舌>明日を迎えに


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 先日亡くなったコメディアンの小松政夫さんは役者を目指し上京した頃、さまざまな職を渡り歩いた。その時代に出会った個性的な人物らをモデルに、ギャグやコントに仕立てた

▼「ニンドスハッカッカ、マー、ヒヂリキホッキョッキョ」は小松さんが生んだキャラクター「小松の親分さん」のセリフ。小学生の頃、解答に間違うと先生がそう励ましてくれたという。教室での温かな思い出は支えでもあったのではないか
▼この時期に決まりものの墓碑銘が本紙に掲載された。道に名を残す功績をたどり、この人も今年だったと記事を追う。それぞれの生きざまに心を支えられたという人もいよう
▼例年とは違った悲しみが込み上げた。コロナ感染での他界である。無念を思わざるを得ない。映画初主演が決まっていた志村けんさんらの別れはあまりに突然だった
▼年末に訃報に接した作詞家のなかにし礼さんは「わが人生に悔いなし」で「この世に歌があればこそ」と書いた。つらさに耐えるよすがとなった作品や笑いを忘れない。改めて思う年の瀬だ
▼間もなく活動を休止するアイドルグループ「嵐」。代表曲「Happiness」は「走り出せ 明日を迎えに行こう」と歌う。立ち止まっても涙しても、きっと動きだそうと。時に歌を口ずさみつつ、笑顔を忘れず、きっと新しい朝が迎えられる。そんな一年にしたい。