<金口木舌>世界の女性リーダー


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 去年の今頃、2020年がこのような年になるとは誰も想像できなかっただろう。新型コロナウイルスの影響で、世界が変わった。愛する人を失った人、仕事を失った人、生活困窮に陥ってしまった人、逆境と闘った人―。多くの人の人生を変えた

▼危機的状況においてこそ、組織のトップに立つ人のリーダーシップが問われてくる。コロナ禍の今年ほど、各国の女性リーダーの存在感が強まった年はない
▼ドイツのメルケル首相(66)、台湾の蔡英文総統(64)、ニュージーランドのアーダン首相(40)らは、高いコミュニケーション力、共感力、説得力ある言葉で新型コロナに立ち向かう姿勢を示し、国民の信頼を勝ち得た
▼日本の数少ない女性リーダーの一人、東京都の小池百合子知事は、流行語大賞にもなった「3密」を浸透させた。スローガンは伝わったものの、台紙に要点をまとめカメラに掲げて語る言葉は心に響かなかった
▼菅義偉首相が就任時に発した言葉は「自助、共助、公助、そして絆」。共感どころか突き放されたように感じた人も多かったのではないか
▼歳末助け合いのこのシーズン、紙面には困窮者への食料品の寄贈や寄付金贈呈の記事が例年以上に多く目に付く。図らずも「共助」が誰かの命をつなぐ。しかし共助では限りがある。金銭的支援と感染対策、医療支援の公助が求められている。