<金口木舌>3万年前、琉球列島に渡った理由は…

 約3万年前に琉球列島に渡った祖先は偶然漂着したのではなく、新たな土地を目指した航海によるものだった。そんな論文を日本と台湾の研究グループが昨年12月、科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した

▼海洋調査用の漂流ブイの経路などを分析した結果、長い間可能性が指摘されてきた「漂流説」が否定された。私たちの祖先は世界最速級の黒潮を横切って移住に挑んだ「開拓者」だった可能性が高い
▼開拓者精神は後世に受け継がれている。1899年にハワイ移民が本格化したのを皮切りに多くのウチナーンチュが沖縄から世界に渡った。その子孫らは現在世界中に42万人ほどいる
▼海を渡ったウチナーンチュたちは異国での過酷な生活に耐え、貧しさを克服し、未来を切り開いた。政財界に多くの人材を輩出し、各国で社会的地位を確立してきた
▼新型コロナウイルスの感染拡大で、県経済は大きな打撃を受けた。だがニーズを踏まえた新たなビジネスも生まれている。新商品の開発や販売方法の変更で苦境を乗り切ろうと挑戦する企業もある
▼未知の世界へ波を乗り越え大海原を進む祖先たちの光景が目に浮かぶ。「開拓者」たちは苦難にぶつかりながらもお互いに助け合い新天地での生活を築いた。コロナ禍を生きる私たちもそのDNAを受け継いでいる。この苦境を乗り越える力につなげたい。



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