<金口木舌>生き続けるシャネルの言葉


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 「モードではなく、私はスタイルを作り出した」。仏デザイナーのココ・シャネルの言葉の一つである。服装を通して女性の生き方に影響を与えてきた。その彼女が87歳で生涯を終えて今月で50年である

▼母親の死後、孤児院に送られ貧しい子ども時代を過ごした。裁縫の才能を生かし27歳で帽子屋を開き一大ブランドを築き上げた。一方、第2次世界大戦後、ナチス・ドイツに協力したとして非難を浴びた
▼黒のワンピース、ジャージー素材の服、マリンルック、プリーツスカート、ショルダーバッグなど彼女が生み出したものは多い。女性をコルセットから解放し動きやすい服を提案。19世紀的な価値観を壊し一新した
▼コロナ禍でわれわれの社会はこれまでの価値観からの脱却が求められている。働き方もその一つではないだろうか。テレワークに時差出勤、週休3日制、フレックスタイム制は以前からあったがこの間進んだ
▼好きな場所で暮らせ働ける柔軟な働き方ができる環境が整いつつある。労働者はワークライフバランスを一層重視するようになるだろう。女性の社会進出が進むチャンスと捉えたい
▼自分らしく生きることを求めたシャネルは数々の名言を残した。「最も勇敢な行為は自分で考え続けること。そして声に出すことだ」。外出自粛の折、自身の生き方を考える機会にしてみてはどうだろうか。