<金口木舌>災害は忘れた頃に


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 久しぶりに恐怖でおののいた。13日深夜に起きた福島県沖を震源とする地震である。最大震度6強。東京も震度4を観測した。気象庁は10年前の東日本大震災の「余震」と考えられると発表した。驚きである

▼強い横揺れが続き、室内の食器ががたがたと音を立てた。いつ収まるのか、永遠に続くのではないかとさえ思えた。東日本大震災が頭をよぎった人も多かっただろう
▼東日本大震災は巨大津波と福島第1原発事故とこれまで日本が経験してこなかった災害だった。約40万戸の住宅が全半壊し、1万8千人以上の死者・行方不明者を出すなど甚大な被害を及ぼした
▼沖縄も対岸の火事ではない。大規模な地震は断層帯がある県内でも起こり得る。海に囲まれ、津波の脅威と隣り合わせでもある。いざというときに大切な人や自身の命を守れるのか、考えを巡らせたい
▼それにしても今回の地震は東日本大震災の「余震」だという。地球の歴史からすれば10年はショートスパンなのか。用心を怠ってはいけない
▼自然災害は避けようがないが、備えを万全にして被害を最小限に抑えることはできる。いまはコロナ禍でもあり、感染防止も考慮しなければならない。来月11日、東日本大震災から10年の節目を迎える。震災の教訓を胸に刻み、減災の取り組みに一層力を入れていくことが私たちの社会に問われている。