<金口木舌>脱プラへの逆風


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 那覇市久茂地のブックカフェ&ホール「ゆかるひ」でコーヒーを頼むと、木のストローが付いていた。脱プラスチックの取り組みを身近に感じた

▼「ナショナルジオグラフィック」のサイトでは、ウミガメの鼻の穴にストローが刺さった動画を閲覧できる。血を流す姿は痛々しく、プラスチックによる海洋汚染を伝える映像として知られる。関心は高まったが、コロナ禍の逆風が吹く
▼感染防止の使い捨てマスクの原料にはプラスチックが多い。世界的な需要増大を受け、中国は一時期、1日の生産量を約1億1600万枚とし、従来の10倍以上に拡大した。世界で毎月1290億枚が、ごみになる恐れもある
▼外出自粛の末、食品の宅配や持ち帰りが増え、プラスチック容器の利用も膨らんだ。海に捨てられると微細のマイクロプラスチックになり、有害物質を吸着する。海洋生物を経て、やがて人間の体内に入る
▼路傍のごみと言えば、空き缶やたばこの吸い殻が代名詞だったが、最近はマスクを見掛ける。ある日、ゆいレール壺川駅から那覇市役所までの約1キロ間を歩いただけでマスク2個を見つけた
▼沖縄科学技術大学院大学によると、沖縄本島周辺海域6カ所で調べた結果、海水に含まれる物質の17%がプラスチック由来だった。漂着ごみにはマスクも目立ってきた。マスクにもがくウミガメを見たくはない。