<金口木舌>コロナ禍のちむぐくる


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 昨年3月31日1面のトップは「志村けんさん死去」だった。その下に「沖縄関係感染10人目」の記事。1年後の30日現在、新型コロナウイルスの県内感染者は累計9371人に上る。1年前は想像できなかった

▼この春卒業の節目を迎えた児童生徒らは、卒業式や運動会、修学旅行も縮小や中止を余儀なくされた。そんな卒業生を励まそうと、各地で多くの人が企画を実施した
▼豊見城市商工会青年部は、市内の3中学校の3年生を対象にスポーツ大会を開催。元プロ選手や人気音楽グループも招いた。「楽しい思い出をつくってほしい」との思いは110の協賛社の賛同を得た
▼南城市の大里中では、同校の改修工事に関わるOBが、思い出の写真を使ったプロジェクションマッピングを上映した。3年生へ予想外のプレゼントとなった
▼琉球コラソンは「6年生思い出を残そうラストマッチ」とし、ハンドボールの交流試合を名護市で開いた。最後の大会も中止になった6年生に「落ちていた気持ちが少しでも上がって中学校に進学してもらえたら」と企画。想定以上の29チームが参加した
▼コロナ禍が日本中を覆ったこの1年。幾度も悲しく、つらい出来事があった。そして今ほど人の温かさが身に染みることはない。つらい時は「お互いさま」。手を差し伸べ、支え合う肝心(ちむぐくる)をかみしめ、新たな年度の一歩を記したい。