<金口木舌>サンゴの島


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 「暁(あかつき)」「おもと」「輝来(きらら)」「昇陽(しょうよう)」。2005年4月に具志川、石川、勝連、与那城の2市2町合併で誕生した新市の名称を決めるため、前年に検討委員会で議論された案だ。「若夏市」との決選投票を経て「うるま市」に決まった

▼名称案は住民から約5千の応募があり、検討委で12案に絞って議論された。検討委での投票で「うるま」は最も多くの支持を集めた
▼沖縄の古い言葉で「サンゴの島」という意味だ。海に面した4市町の美しい景観も表している。市のホームページには「新市が未来に飛躍し、美しい沖縄(4市町)の心を世界に発信することを願う」と記載されている
▼25日投開票のうるま市長選は三日攻防に入った。ともに無所属新人の中村正人氏(56)、照屋寛之氏(68)が市内各地で政策を訴える。経済振興の手法や現市政への評価などで主張が分かれている
▼18世紀の思想家ルソーは「社会契約論」で「人民は選挙の時だけ自由で、議員が選ばれてしまえば奴隷になる」と英国の間接民主主義を批判した。選挙制度はより民意を反映させる形に変化してきた。「自由である短い期間に彼らが自由をどう用いているか」と有権者のあり方も問うている
▼住民が「未来への飛躍」の願いを込めたうるま市誕生から16年。理想を実現するためにも、より多くの市民が投票という「自由」を行使してほしい。