<金口木舌>沖縄の未来


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 北山王を討って三山を統一した尚巴志。自分の刀剣と交換で商人から船一杯の鉄塊を手に入れた逸話は有名だ。農具に活用し、生産力を大幅に向上させた。時代を制する先見の明があった

▼現在の「鉄」はAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの最先端技術。世界各国がしのぎを削る中、産油国サウジアラビアが描く「脱石油」の都市計画が注目されている
▼巨大開発プロジェクト「NEOM(ネオム)」。地下に張り巡らされた道路網を自動運転車などが走る。二酸化炭素排出量はゼロ。100%再生エネルギーで運用される街の地上には道路がなく都市の周辺には緑が広がる
▼一方、最先端技術からほど遠い生活を送りつつ、幸せの在り方を説いた人がいる。質素な暮らしから「世界で最も貧しい大統領」として知られた元ウルグアイ大統領のムヒカ氏は「貧乏とは欲が多すぎて満足できない人のことだ」と名言を残した
▼「沖縄が日本の経済成長のけん引役となるよう、各種産業の振興策を積極的に推進する」。日本政府の経済財政運営の指針「骨太方針」では沖縄に寄せる期待が読み取れるが、私たちはこれからどのような社会を目指すのか
▼豊かな自然の中でゆいまーるを大切にしてきた沖縄。情報技術が日進月歩する中、沖縄らしい幸せの感じ方を世界に示してもいい。「満足度世界一」を目指して。