<金口木舌>配偶者の呼び方あれこれ


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 配偶者の呼び名を第三者にどう伝えるか。結構難しい。古めかしい表現と感じたのは玉城デニー知事。ツイッターで「山の神」と記した。「大辞林」によると「俗に頭の上がらない妻のこと。特に口やかましい妻をいう」とある
▼山の神様は女性神として信仰されることが多く、恐れられてきたことに由来するという。知事の真意は図りかねるが、頭が上がらない様子を伝えたかったのだろうか
▼ある製薬会社の調査によると男性は「嫁」「妻」「奥さん」の順で多かったという。逆に女性は「旦那」が過半数を占め、次に「夫」「主人」と続く
▼最近は社会的につくられた性差「ジェンダー」の視点も必要だ。「主人」「旦那」は主従関係を感じさせる。「家内」「奥さん」は「女性は家の奥や内側にいる人ではない」との批判の声が聞こえてきそう。「嫁」は「『家』と結婚したわけではない」との反発を招く場合もある
▼復帰前に家庭を築いた一定の年齢層は、妻のことを「ワイフ」と呼ぶ。米統治下だった米国の文化の影響だろうか。沖縄ならではの言い回しとみる
▼ジェンダーに詳しい矢野恵美琉球大法科大学院教授は「妻、夫、パートナーなどが望ましいのでは」と提案する。それにしても「連れ合い」「かみさん」「亭主」など、日本語の言い回しは多過ぎやしないか。いっそのこと「とぅじ」「うぅとぅ」でどうだろう。