<金口木舌>パインのストロー


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 5月31日は、世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」。健康被害が広く認識されたこともあり、厚生労働省によると成人男性の喫煙率は1989年の55.3%から、2019年の27.1%と30年で半減した

▼なかなかたばこがやめられない人も。原因はニコチン中毒だとされるが、ガムをかんだり、アメをなめるなどの禁煙方法もある。口寂しさを抑えるためだ
▼普段から慣れ親しんでいる感覚がなくなるのは寂しい。ストローも同じ。環境保全のために紙製のストローも提供されるようになったが、やはり慣れ親しんだプラスチックの感触の方がいいと感じてしまう
▼とはいえ、健康と同様に、環境のことも考えなければならない。国連環境計画(UNEP)などによると、ストローなどから溶け出るプラスチックごみは年800万トン以上が海に流出しており、汚染は深刻だ
▼食品関連開発・販売のフードリボン(大宜味村)が、パイナップルの繊維を使ったストローを販売している。収穫後に廃棄されるパインの葉など100%天然素材を使用している一方で、ふやけないなど耐久性が特徴
▼持続可能な開発目標(SDGs)を推進する県内ホテルなどで使用が始まっている。慣れ親しんだものを捨てるのは難しいが、環境被害が広く認識されることでプラスチック使用量の半減も実現できるかもしれない。