<金口木舌>変化の一歩は選手の勇気から


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 豪州のリオ五輪競泳女子銀メダリスト、マデリン・グローブスさんが「女性蔑視の変質者」が競泳界にいるとして、東京五輪選考会への不参加を表明した。「有名コーチ」から受けた性的な嫌がらせなど過去の不快な体験もSNSでつづっていた

▼不参加表明について「スポーツ界にいる全ての変質者と、彼らにこびる人への教訓に」と投稿。「若い女性への性的搾取や心理的な嫌がらせはできない。そんな時代は終わった」と断じた
▼競技の場で女性アスリートが性的な画像や動画を撮影され、ネットに拡散される被害が相次いでいる。被害は中高生やチアリーダーにも広がっている。画像はずっと残る。これは明らかに犯罪行為だ
▼「そんな格好をしているからだ」とまるで選手が悪いかのような言説が飛び交う。女性蔑視とは、女性を見下し、時に利用する行為。被害者の心身に深い爪痕を残す。被害が表に出るようになったのは声を上げた選手らの存在が大きい
▼体操の欧州選手権でドイツ勢が性的な画像に抗議し、露出の多いレオタードではなく足首まで覆う「ユニタード」で演技し注目された。東京五輪は競技場での性的な写真・動画撮影を禁止する
▼グローブスさんのように女性蔑視批判の声を上げたことは変化の大きな一歩。「そんな時代は終わった」と世界中のアスリートが確信する日の始まりにしたい。