<金口木舌>屈託ないプレーを


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 甲子園を目指す球児たちの歓声が球音とともに戻ってきた。高校野球沖縄大会が開幕した。無観客でのスタートだが、甲子園を懸けて2年ぶりの開催。球児のさまざまな言葉に胸を打たれる

▼当然だが、初日で敗れ去ったチームもある。開幕日第1試合で敗退した宮古工・宮古総実。試合後、選手からは島内での限られた練習試合で高め合った対戦相手の宮古への感謝の言葉があった
▼縮小開催だった開始式で名護の金城樹主将は「私たちができることは最後まであきらめない姿を県民に見てもらうこと」と誓った。対戦相手だけでなく、病禍とも闘っているようで力強く感じた
▼自らを振り返ってみる。ボールを追いかけた学生時代、親や指導者に思うところはあっても「県民」を意識してプレーしたことはなかった。競技会開催には厳しい目線もある。球児にも気を遣わせてしまっている部分もあるのだろう。宣誓の言葉に申し訳ない気もした
▼五輪日本選手団の旗手にバスケットボールの八村塁選手らが決まった。選出談話で「皆さんの健康と安全が最優先だが」と前置きした。開催反対の世論への配慮と取れる。出場機会を守るため、選手たちは感染防止に気を配っている
▼高校野球沖縄大会は18日の決勝で全国一番乗りで代表校が決する。臆(おく)することなく、屈託なく、懸命にプレーしてほしい。その姿こそが感動を呼ぶ。