<金口木舌>輝きを失わないために


社会
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 真珠の養殖には長い年月と丁寧な作業が必要だ。母貝を育てて真珠の核を挿入し、海中で生育して浜揚げする。輝く真珠は数年かけて生まれる。常に海中の状況に気を配り、母貝にとって好環境を維持することも重要になる

▼2018年の西日本豪雨では愛媛県の真珠養殖に影響が出た。土砂が海に流れ込み母貝の生育環境が悪化した。取材で話を聞いた養殖業者は「海は穏やかに見えるが、その下に被害が広がっている」とため息をついた
▼コロナ禍の影響は沖縄の多方面に及ぶ。イベントの自粛や披露宴の中止が相次ぎ、県内の結婚式場が閉館を決めた。休校で給食がなくなり青果卸売業は需要が落ち込む
▼県中小企業団体中央会がまとめた6月の景況動向は、全業種で景況悪化を示す数値が出た。直接影響を受ける飲食や観光にとどまらず多くの職種が苦境に立つ。中央会の島袋武会長は中小零細企業の倒産の増加を懸念する
▼コロナ禍の収束は見通せず企業を取り巻く環境は厳しさを増す。どこまで影響が広がり、何が必要とされているのか。表に出にくい被害に光を当てる作業は、行政だけではなくマスコミにも求められる
▼緊急事態宣言は延長され県内の感染者は増加に転じた。苦しい状況にある個人への支援も不可欠だ。きめ細かな対策を長期にわたり続けることで、光り輝く沖縄の未来につながるはず。