琉球新報社 
リバプールと言えば英国イングランド北西部の港湾・工業都市。今では観光都市としても知られる。地名の語源は「濁った水たまり」という。何よりもビートルズ生誕の地として名高い
▼気になるニュースが飛び込んできた。国連教育科学文化機関（ユネスコ）がリバプールの世界遺産登録の抹消を決めたのだ。この街は2004年、「海商都市リバプール」として世界遺産に登録されていた
▼新しい建物のおかげで景観が悪化し、歴史的価値が「取り返しがつかないほど損なわれた」というのが抹消の理由。開発行為で街が「濁って」しまったか。このニュースにどきりとした人もいるだろう
▼沖縄、奄美の世界自然遺産登録が決まった。リバプールの登録抹消をよそ事と片付けるわけにはいかない。北部訓練場跡地の廃棄物や希少種の交通事故、観光客急増などの課題が残されている
▼この地域の遺産登録を勧告した国際自然保護連合（IUCN）が評価する「国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性」は、ちょっとした不注意で傷ついてしまう。それこそ「取り返しがつかない」
▼リバプールに実在した孤児院を歌った1967年の「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」はビートルズによるご当地ソング。タイトルを直訳すれば「イチゴ畑よ永遠に」だろうか。島々の宝を永遠のものとするため、遺産登録は出発点と心得たい。
