<金口木舌>「うらやむ」と「ねたむ」


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 「うらやむ」と「ねたむ」の違いを、イラストレーターの汐街(しおまち)コナさんはこう説明する。「うらやむ=自分をその人の位置まで高めたいと思う」「ねたむ=その人を自分の位置まで落としたいと思う」

▼高校時代に国語教諭から学んだという。著書「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由」で記す。スポーツができる人を見て「うらやましい。自分も頑張ろう」と思うか。「けがをしてくれたらいいのに」とねたむか
▼ネットのSNS(会員制交流サイト)が発達し、格差社会が進み、他人の芝生がより青く見えるようだ。他人をねたむ人が多くなっているように思う
▼東京の電車内で6日、無差別刺傷事件が発生した。加害者は「幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思った。誰でもよかった」と供述しているという。約6年前から殺意を抱いていたというから問題は根深い
▼無差別に人を殺傷する事件は、2001年の池田小学校での事件、08年には秋葉原で歩行者天国にトラックで突っこむ事件があった。社会への恨み、という点で共通する
▼「自分も時々ねたむ人になりかけることがあるが、意識してうらやむ人に切り替えている」と汐街さんは記す。みんなが幸せになるには「うらやんで共に高め合う」が理想だ。一人一人の気持ちの切り替えが、ねたみで人を傷つけるような社会を変える。