<金口木舌>100勝


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 甲子園での県勢通算成績が100勝83敗となり、節目の白星が加わった。振り返ると大差の負けがあれば、1点が遠かった試合もあった

▼40代の当方が覚えているのは1990年の夏、沖縄水産の天理(奈良)との決勝。塾をサボって近所の食堂で見た。九回裏2死二塁。左翼への深い当たりが好捕されてゲームセット。厨房(ちゅうぼう)のおばさんの涙とともに記憶に残る
▼1958年の首里から始まった。1回戦で敦賀(福井)に0―3で敗れ、ナインが聖地の土を没収されたのはあまりにも有名だ。首里、那覇、沖縄に続いて出場した65年春のコザが岡山東商に敗れた1回戦を印象に残る一戦に挙げる人もいた
▼優勝につながった僅差の勝利も。99年春の沖縄尚学の初戦、比叡山(滋賀)戦は1―0の勝利。覚えているのは担当記者だけかもしれないが、2008年春、沖縄尚学の初戦の聖光学院(福島)戦も初回の1点が決勝点だった
▼甲子園での県勢は勝率の高さが特徴的だ。都道府県別で勝ち越しているのは沖縄を含めて17都府県。九州では沖縄のみで県勢の強さが分かる
▼節目の勝利は阿南光(徳島)から。意外にも、徳島勢との対戦は2度目で、10年夏に興南が1回戦で鳴門に勝って以来。この大会で興南は初めて夏を制した。これで縁起をかつぐのは身びいきに過ぎるが、100勝からさらに伸ばしてほしいこの夏である。