<金口木舌>女性アスリートの未来


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 作家の山際淳司さんは「21世紀の甲子園」と題したエッセーで未来の高校野球の姿を描いた。高校野球に多くの伝統が残ることに触れ、変革の導入で競技の衰退を防げると指摘した

▼23日の高校女子硬式野球の決勝は初めて甲子園で開かれた。上本部中学出身の宮城夢叶選手も高校球児の「聖地」に立った。はつらつとプレーする女子選手は球史に新たな一歩を刻んだ。高校野球の未来にどのような効果をもたらすか、今後の展開が注目される
▼東京五輪で歴史を切り開いたのは女子バスケットボール。平均身長176センチと小柄だが、堅守と3点シュートを武器に銀メダルを獲得した。高身長が有利となるバスケで、小さくても勝てることを証明した
▼9月には女子プロサッカーの「WEリーグ」が開幕する。女子リーグのプロ化で選手の競技環境を向上させ、代表チームの強化につなげる。サッカーに打ち込む女子選手が将来の夢を抱くこともできる
▼WEリーグは日本の女性活躍社会をけん引することなどを設立の意義に掲げる。名称には「みんな(WE)が主人公として活躍する社会を目指す」との思いを込めた
▼競技に汗を流す男子選手をヒロインが見守る。漫画やドラマでよく見た構図は過去のもの。女子選手は甲子園の土を踏み、世界を相手に躍動する。その輝く姿がスポーツの未来を明るく照らしている。