<金口木舌>シッティングバレー


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 熱戦が続く東京パラリンピック。健常者の試合にはない、独自のルールで同じ障がいの程度の選手らが競い合う

▼例えば下肢障がいの選手が参加するシッティングバレー。通常のバレーボールより狭いコートで6人の選手が座って競技する。お尻が床から離れると反則になる。このルールで障がいによって生じる不公平感を解消している
▼東アフリカのルワンダから、シッティングバレーと陸上の選手団が8月中旬、八重瀬町にやってきた。ルワンダ選手団の事前合宿は、一昨年に続き2回目。中には義足を使用する選手もいる。この国の過酷な歴史の一端を見る
▼1994年にツチ族とフツ族の武力が衝突するルワンダ内戦が起きた。当時、80%の子どもが家族の死を経験し、70%の子が殺されたり危害を加えられたりするのを見たとされる。選手団の中にも地雷で障がいを負った選手がいるという
▼「苦しみを乗り越える術として、互いに痛みを共有することが大事だ」と語る主将のリリアン・ムコブワンカウェさん。平和と自由がある人生に深く感謝する
▼シッティングバレーのプロチームもあるルワンダ。障がい者がアスリートとして活躍する社会を築いていることに驚きと敬意を抱く。選手たちを熱戦の舞台に導くための独自ルール。きょうは中国と対戦する。競技を通して、公平であることの価値を考えている。