<金口木舌>94歳のクロスワード名人


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 子どもの頃、家でくつろいでいると兄が険しい表情で本紙副読紙の週刊レキオと格闘していた。クロスワードで難問にぶつかったようだ。正答を教える父の姿を見て「大人の知識はすごい」と感心した

▼最近、週刊レキオのクロスワードに挑戦してみたが、容易な問いもあれば、お手上げの問題もある。子どもの頃より知っていることは増えているはずだが、全問正解は難しい
▼頼りになるのが世界最大の検索エンジン「Google」。10の100乗という意味の「googol」と名付けるはずが、つづりミスでGoogleになったとか。名称に膨大な情報を組織化する意味があるという
▼ネット上で「グーグル先生」とも呼ばれる通り、検索すればほとんどの答えを得られる。グーグル先生に頼って全てのマスを埋めた瞬間はうれしいが、むなしさも感じる
▼指一つで答えを得られても、人の話を聞いて感動したり、活字の中で新たな発見をしたりしたときの興奮とはほど遠い。心を動かされないせいか、すぐ忘れてしまう
▼宜野湾市の伊禮澄子さんが4年前に本紙投稿欄で知人のクロスワード名人、金城スミ子さんを紹介した。金城さんの習慣は「新聞は毎日、隅々まで読む」。9月6日はクロスワードの日。94歳の今でも政治や社会情勢に関する談義が尽きないという金城さん。興味こそが明晰さの秘密かもしれない。