<金口木舌>不機嫌ハラスメント=フキハラ


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 小学生のころ、母親が不機嫌なときはできるだけ顔を合わせないようにした。洗濯物を畳む手伝いもして、ご機嫌をとった。八つ当たりの被害を避けるためだった。今思えば母の態度は「フキハラ」だった

▼「不機嫌ハラスメント」の略で、理由を示さず周囲の人に不機嫌な態度を取って威圧する意味だ。自分に原因があれば対処のしようもある。理由が分からないだけにやっかいで、相手の気分次第という点が悩ましい
▼セクハラ、パワハラ、マタハラ、モラハラなどハラスメントの内容は近年多岐にわたる。共通するのは、力のある人が自分より立場の弱い人に対して振る舞う行為だ
▼県議会議員から電話で叱責(しっせき)された県職員が心身不調となり、一時休職に追い込まれた。県が議会に出した文書を巡り議論が紛糾。17日の代表質問は流会となった
▼断片的なやりとりしか伝わっていないが、県議の行為がパワハラの疑いがあるとして、県が議会に文書を出した。威圧的な態度が、職員を精神的に追い詰めてしまうことを他の議員も自覚した方が良い
▼強者の前で、被害者は声を上げにくい。ハラスメント防止の難しさはここにある。だからこそ加害者側の気付きと学び、想像して行動を変えていく努力が求められる。当方も時々家でフキハラをしてしまう。自戒を込めて、意識と行動を変えていかなければと感じている。